『  歳末 !  ― (2) ―  』

 

 

 

 

 

 

 

「 ただいま ・・・  フランソワーズ、買い物してきたぞ  

アルベルトは 珍しく玄関からキッチンに直接回った。

「 お帰りなさい。  あら ありがとう〜〜  助かったわ。

 買い物当番のジェットもジョーも まだ帰ってこないのよ  

「 そんなことだろうと思ってた。  重いものを中心に買ってきた。 」

 ずん。 彼は膨らんだレジ袋を差し出した。

「 あら  ジャガイモにミカン、リンゴ ・・・ タマネギも!

 ありがとう〜〜  ふふふ〜〜〜 じゃ ランチにポテト・グラタンでも

 作りましょうか 」

「 お。 いいな。  あ〜〜 ちょいと掃除でもしようか ? 」

「 あらあら いいわよ、そんな。  今週の掃除はジェットが担当だから。 

 ちゃんとやってもらわないと困るもの 

「 ふん ・・・ ヤツは? 」

「 なんとかってパーツを買いに行くって。 一応メールは来たわ 」

「 秋葉原とか 行ったのか 」

「 さあ ・・・ ただねえ  < 飛んで > 行ったみたい 

「 !  もう〜〜〜 帰ってきたら屋根とテラスの掃除だっ 

「 ふふふ 高いところ スキだからいいわよ  

「 ここの屋根は広いからな〜〜 掃除のし甲斐もあるだろさ。

 あ 掃除道具と洗剤は 」

「 あ〜〜 地下のロフトに買い置きがあるわ。 雑巾も使ってって言ってね 

「 了解。 俺が監督する  」

「 うふふ・・・ おねがいします 

「 任せて置け。  あ  あ〜〜〜  あの その ・・・ 年末だが 」

「 はい?  

珍しくもアルベルトが口ごもっている。

フランソワ―ズは 大きな目をますます見開き じ〜〜〜っと見つめた。

「 その・・・ ナンだな 〜〜 年末には この国ではいろいろ・・・

 習慣があるんだろう? 」

「 え?  ああ そうみたいね 」

「 う うん それで その。 二ホンには必須のモノがあるだろ。 」

「 必須のもの?  ・・・ ああ お正月に? 」

「 そ そう! エ〜ト それを だな 

「 ああ いろいろあるけど 今年はパスしようかな〜〜って思って 」

「 パス??  いや ! それはよくないぞ。 」

「 そう? でも〜〜 わたし達 二ホン人じゃないし。

 クリスマスをしっかりやれば あとは 皆でリラックスして過ごせれば

 いいんじゃない ? 」

「 いや!  正月は必要だ。 」

「 ・・・? どうしたの アルベルト。  なにか拘りがあるの? 

「 え??  ・・・ あ〜〜〜 いや そういうワケじゃないんだ。

 ただ そのう〜〜 ・・・ あ! そうだ!

 今年はせっかくこの国で新年を迎えるのだから そのう〜〜 たまには

 この国の伝統文化に染まってもいいか と思って 」

「 そうねえ ・・ この国は新年を迎えるためにいろいろな面白い

 風習があるわよね 」

「 そうなんだ! だから その〜〜 それを経験してみるのもいいかな と

 思って だな 

「 ああ そういうこと・・・ そうね〜〜〜 お節料理とか ね 」

「 そう そう! それに だな〜〜 暮れのうちに準備したりするじゃないか 」

「 そうなの?  あ お節料理はね 大人が作ってくれるから安心して。

 ちゃんと手作りのお料理を特製お重に詰めてもらうことにするの。 」

「 それはいいな。 で そのお節料理といえば 欠かせないのが 」

「 あ! かまぼこ とか だてまき とか? 安心して ちゃんと詰めてもらうから 」

「 う〜〜〜 その < おじゅう > の中身じゃなくて だな〜〜〜  」

「 ? ・・・ あ お雑煮? 」

「 そう! その中身に入れるモノがあるだろ? 」

「 ああ・・・柚子はねえ ウチの庭のを使うわ とてもいい香なの 」

「 う ・・・ 柚子 か。 そのぅ〜〜 主役になるヤツ を 

「 主役?  ああ ウチは関東風の澄まし雑煮よ。 あ 関西風とか

 え〜と 白味噌味とかがよかった? 」

「 ・・・ どっちでも ・・・ で その真ん中にあるヤツなんだが 」

「 あ〜〜 お餅のこと? 安心して。 パック詰めのを大量に届けてもらう予定よ。

 皆でた〜〜〜くさん食べてね 

「 パック詰め ・・・ だと? 」

「 そ。 新鮮だしオイシイし。 始末も簡単よ 

「 いかん。 」

「 は??  なにが 

「 ウチでは 伝統文化を継承したい、と思う。せっかくこういう国にいるのだからな。

「 でんとうぶんか? 」

「 そうだ。  もちつき だ。 餅つきをすることにした。 ウチの庭先なら

 大勢で盛り上がれる 

「 は? ・・・ もちつき ですって?? 」

「 そうだ。  商店街の米屋のダンナと話をつけてきた。 」

「 話 ・・・って? 」

「 餅つきの、 さ。  ウス とか キネ  を 借りる約束をした。

 モチゴメ も 米屋のご隠居に頼んだ。  

やり方はレクチュアしてもらう約束をしたし ネットでも検索できる 

「 ちょ ・ ちょっとぉ〜〜 どういうことよ?? 

「 大丈夫、力仕事だが ジェロニモ Jr. と 俺が引き受ける。

 < 捏ね役 > が必要だが 地元民のジョーにやらせる。

 搗き上がった餅は 大人に餡コロ餅 や カラミ餅にしてもらう。

 君は 温かくしてみておいで 」

「 ・・・ あら わたし、 見学 なの? 」

「 うむ。 ここは我々に任せてくれ。 」

「 いいけど ―  

「 ありがとう。 実はな〜〜 地元のヒトたちも参加してもらって

 こう〜〜 わいわい楽しんでもいいか と思ってな 」

「 それはいいわね〜〜  商店街の方たちにはお世話になっているし・・・

 地域のヒト達も楽しんでくれれば 

「 うん そう思ってな。  この国でも昨今は見当たらないらしい 」

「 モチツキが? 」

「 うむ。  ああ それと あ〜〜〜 ほら アレも俺達に任せてくれ 」

「 アレ?? アレってなあに 」

「 う ・・・ そのう〜〜 クリスマス・ツリー みたいな アレだ 」

「 ???  あ〜〜 〆飾りのこと? 」

「 あ それもあるが。 ほれ アレだよ 〜 」

「 ― もしかして  かどまつ のことを言いたいの? 」

「 ・・・ そう だ 」

珍しくも蚊の鳴くよ〜な声での返答に フランソワーズはふか〜〜く頷いた。

「 また アレを飾りたいわけ? わたし あの騒ぎはもう二度とごめんよ? 」

「 わかっている。  だからこそ ― 飾りたい。 」

「 ふ〜〜ん ・・・ ふつ〜に穏やかにするなら どうぞ。

 反対なんかしません。  むしろお願いしたいわ。 」

「 わかった。  平穏に普通に やる。 」

「 そうですか。 」

「 安心してくれ。 地元で材料を調達し地元のプロに手助けしてもらう。 」

「 はい それなら結構です。 」

「 よかった!  じゃあ 任せてくれるか 」

「 はい おねがいします。 わたしもこの土地で暮らすのですから

 伝統文化を正しく継承したいと思います。 」

「 同感だ。  ジェロニモ Jr. と しっかり協力してやる。 」

「 それなら安心ね。 ・・・ ジェットは? 」

「 アイツにはまだ知らせていない。 掃除部隊に専念させる。 」

「 そうね〜〜 屋根とテラスの他に窓拭きとか高い場所を頼みたいわ。 」

「 適役だ。 それも帰宅したら早速指示しよう。 」

「 そちらもお願いね。 ― ただし 揉め事はやめてよね 」

「 わかっている。  ジョーのヤツも監視役につけよう 

「 いいわね〜〜 これで掃除問題もクリア〜 ♪ 」

「 新年、すっきり迎えられるな。 」

「 そうね そう願いたいわ。  ふふふ〜〜 では ポテト・グラタンの

 用意をしましょうかね〜〜 」

「 歓迎だ。 よろしく頼む 」

「 あら ジェロニモ Jr. は? 

「 ああ 植木屋に回ったから ― 直に戻るだろう。 」

「 そう。  皆 お昼には戻ってくるでしょうね 」

「 呼ぶか? 」

「 いいわ。 遅くなったら ― 美味しいグラタンがなくなるだけ。 」

「 ははは そりゃいい 」

冬の陽射しいっぱいのリビングは おだやか〜〜〜な雰囲気になった。

 

「 ただいま〜〜  うん?  くんくん・・・ 良い匂いだなあ〜〜 」

ピュンマが玄関で ハナを鳴らしている。

「 ピュンマ?  お帰りなさ〜〜い  ランチよ〜〜 熱々! 

「 わほ☆ グッド・タイミング〜〜〜〜  手 洗ってすぐゆくよ 」

「 待ってるわよ〜〜 」

彼は嬉々としてバス・ルーム経由で キッチンに入ってきた。

「 お帰りなさい。 寒かったでしょう?  

「 晴れてるんだけどさ、 風が強くて ・・・ 冷え冷えさ 

「 ふん。  ・・・ 首尾は?  」 

珈琲を淹れつつ アルベルトがぼそり、と発言する。

「 あ うん。 発注したよ。 宅急便で届くはずさ。 

「 そう か。 それは よかった。 

「 ウン。 予定通り だよ 」

「 了解。 」

単語に近いやり取りで 二人はふか〜〜〜く頷きあった。

「 なあに〜〜 意味深に見つめあっちゃってぇ〜 」

「 へ?  な〜に言ってんだよ。 

それよか オーブンの中のオイシソウなモノは なんだい?  

もう 腹のムシが く〜〜く〜〜〜 」

「 うふ? ではお目にかけます〜〜  じゃん♪ 」

「 〜〜〜〜 うお〜〜〜〜 」

じゅうじゅういう熱々のグラタンが テーブルに運ばれてきた。

「 美味そうだな。 」

「 うふふ・・・ これ ベースはポテト・グラタンよ? 

 地元で採れたじゃがいも と タマネギ に この県の養豚場のソーセージ。 」

「 へえ いいねえ〜〜  ね 食べようよ 」

「 はいはい。 アルベルト、切り分けてくれる 」

「 御意。 」

この邸の女主人に 慇懃に会釈をすると 彼はキレキレの包丁を手に取った。

 

朝方 ばらばらと外出していった仲間たちは やはり ばらばらと

帰ってきた。

 

  ― ガタン。  「 ただいま 」

 

玄関から 低いがよく響く声が届いた。

「 ジェロニモ Jr.?  お帰りなさ〜〜い 

巨躯の仲間は 相変わらず穏やかな顔で帰宅した。

「 おう。 植木屋の首尾は どうだ? 

「 むう。 棟梁と話をしてきた。 門松、任せろ。 」

「 そりゃよかった。 頼む。 」

「 ふふ ジェロニモ Jr. なら安心ね。 楽しみだわ〜〜 」

フランソワーズは嬉しそうだ。

「 さあ さあ ランチにしましょう〜〜 丁度 切り分けたところよ。

 博士をお呼びして 」

「 ああ 今 行ってくる。 」

アルベルトは身軽に立っていった。

「 ジェットとジョーは 」

「 鉄砲玉。 」

「 ? 」

「 あ 知ってるよ。 < 出ていったきり > だろ? 」

「 さすがピュンマね〜〜 特に空を飛んで行ったヒトは 行方不明。 」

「 そのうち ふらり、と戻ってくる。 

「 と 思うしかないわよ 」 

 

飛び出していったワカモノ達を待たずに ほかほかランチとなった。

 

博士もにこにこ・・・テーブルについた。

「 ほう〜〜 これはいいなあ・・・ ポテト・グラタンかい 」

「 はい。 お気にめしまして? 」

「 うむ うむ ・・・ 」

「 フランソワーズ、料理の腕を上げたな。 美味い。 」

「 まあ よかった。  ピュンマ  どう? 」

「 ん〜〜〜 いいよ〜〜 ウマい! クローブとペッパー、上手に使ったね 」

「 うふふ ♪ 」

温かく美味しい香に 皆がにこにこ・・・だ。

食後には ワイン・ゼリー を楽しんだ。

「 お これはいいな。 うむ うむ 」

ワイン通の博士も舌鼓を打っている。

「 俺 しばらく植木屋、通う 」

珍しくジェロニモ Jr. が口を開いた。

「 は?? 通うって どういうことだ 」

「 仕事、教えてもらった。 カンタンな仕事、頼まれた 」

「 え〜〜〜 バイトってこと? 」

「 年末 忙しいそうだ。 猫の手、借りたい と 

「 うふふふ ・・・大きなジェロニモの手が 猫ちゃんの手? 

 なんかおかし〜〜〜〜 」

「 俺の手 でかい。 それが植木屋には向いているそうだ 

「 ほう〜〜〜 そりゃ結構なことじゃないか。

 お前さんさえよければ 植木屋の棟梁の手助けをしてきておやり。

 あの植木屋は 代々続いた老舗だが 昨今の人出不足で 廃業しようか・・・

 と悩んでおったのだよ  」

「 わかった。 俺、ウチの門松、仕上げられるように修業してくる 

「 頑張って〜〜  あ ・・・ ってことはウチの掃除部隊が手薄になるわねえ 」

「 フラン。 大丈夫さ。 実はね〜〜〜 万能掃除機をさ

 発注してきたんだ。 これ 僕たちからの御礼ってことで 」

「 万能掃除機?? 」

「 そ。 今の だ〇そん より進んだヤツ。 世界最新だよ〜〜 」

「 あ ら そうなの? 」

「 まだ一般販売前なんだけど 予約してきたんだ。 アレがあれば

 掃除は楽々さ   手薄になった分も引き受けてくれるさ 」

「 あ ・・・  あら?  帰ってきたわ♪  お帰りなさ〜〜〜い 

フランソワーズは デザート・スプーンを放りだし、玄関に飛んでいった。

「 ??  あ〜  ジョ― 帰ってきたのか。 門の音 聞こえたか? 」

「 いいや?  あ フランだから 」

ピュンマが ちょい、と自分の耳を指した。

「 いや 平時は使わない、と言ってるぞ? 

「 それじゃ 」

「 愛するヒトの足音 聞こえる 」

「 あ  そ。 」

「 まあ いいじゃないか。  おっと ジョーの分のグラタンはあるのかな 」

「 ええ ちゃんと用意してあるはずですよ。  ・・・ ああ これだ 

 オーブンに入れておきますね。 

博士の心配に ピュンマが身軽に動く。 

「 アイツは 砂糖たっぷりのミルク・ティ だったな  お子ちゃまだなあ 」

アルベルトも飲み物を整えてやった。

「 ― ただいま〜〜〜  わあ〜〜〜 いい匂いだなあ ・・・

 お昼はなに?? 

ジョーは リビングに入ってくるなり歓声を上げた。

「 ジョー、 お帰り。 買い物の首尾はどう? 」

「 ピュンマ〜〜 うん、ホーム・センターでさあ セールやってて・・・

 ほら ぴかぴか雑巾 やら めちゃ落ちクン やら い〜〜っぱい買ってきたよ 

 ちょっち待ってて! 」

彼は 玄関から大きな袋をずりずりもってきた。

「 ほら〜〜〜 普段の半値とかのもあったんだ。 

 大掃除はこれで安心だよ。 ぼく 頑張る〜〜〜 」

「 あ  あのねえ ・・・ イワンが < 万能るんば > を開発してね 」

「「  え!? 」 」」

博士以外の男性陣 全員が思わず声を上げた。

「 ?? なあに?? 」

「 あ  いや  その ・・・ 別に 」

「 そう?  あ あのね  ジョー ・・・ お買い物、ありがとう!

 で 大掃除なんだけど 」

「 うん、全員で手分けして〜〜って 思ったんだけど 」

「 そうね、窓拭きとかは お願いしたいわ。

 普通の掃除は < 万能るんば > に任せてちょうだい  」

「 ばんのうるんば?  るんば って あの自動掃除機だろ?

 でもアイツは行動範囲、結構制限されるんじゃないかな。

 ウチは広いけど、段差があったりするし。 ほら 冷蔵庫の裏とか狭い場所なんかは

 やっぱ ヒトの手が必要だろ? 」

「 あ〜 ウチの万能るんば はね、狭いトコも縦になって入ったり

 壁を上って梁を掃除したりできるの。 

 ふふふ〜〜 ウチのは特別製でね、どんな細い場所でも 機体変形して

 入り込めるの。 ベッドの下も冷蔵庫の裏も おっけ〜〜 」

「 す げ 〜〜〜 」

「 機体変形するということは 一種のロボット型掃除マシン ということか? 」

「 そうかも〜〜  ともかく掃除は < 万能るんば > が担当します。 」

「 ふうん ・・・ あ 洗剤とかは ? 」

「 最初に注入しておくの。 掃除場所の素材をセンサーで調べて 適した洗剤を

 使用するようプログラムしたんですって。 」

「 へえ〜〜 イワンがねえ ・・・ 」

「 そうなの。 あ ジョーが買ってきてくれた洗剤、 使えるわ。

 ありがとう〜 

「 あ  うん ・・・  それじゃ ぼくは窓拭き、担当するね。 」

「 窓拭きはね 屋根掃除とコミでジェットにやってもらうわ。

 も〜〜 朝 飛び出していったきりなんですもの。 ペナルティだわよ 

「 あは ・・・ 高いトコ、好きだもんね 」

「 でしょ。 」

「 ・・・ 大人たちはお店があるし。 ジェロニモ Jr.は 門松作り。

 アルベルトは餅つきだろ?  ピュンマは ? 」

「 あ〜 僕は その < 万能るんば > のプログラムをちょいと修正するよ。

 この家の構造にぴったりの行動ができるように ね。

 うまく組み込めば 完全自動掃除機 も夢じゃないからね〜 」

わくわく気分のピュンマは もうに〜〜んまりしている。

「 そっか ・・・ それじゃ ぼく ・・・ なにすればいいかな 

「 え〜と  そうねえ ・・・ 」

「 おい ジョー。  よかったら餅つき大会、 手伝ってくれ。

 やはり 地元民のチカラが必要だ。 なにせ 俺にはイメージがまったくわかないから

 な。 」

「 アルベルト! うん ぼくでよかったら! ・・・・っていっても、

 ぼくだって 餅つき は 施設でやったのを見てただけなんだけど 」

「 < 見てた > んだろ? それで十分さ、手伝ってくれ 」

「 おっけ〜〜〜♪  モチゴメ、とか必要なはずだよ? 」

「 検索してくれ 」

「 おっけ〜〜 あ その前にお昼ごはん〜〜  なんかめっちゃ良い匂い〜〜 

 腹のムシが ぐ〜〜ぐ〜〜 だよぉ〜〜 」

ジョ― はお腹を押さえてちょいと情けない顔をした。

「 あら いけない!  もう一度 温めるわ。 熱々がオイシイから  」

「 わお♪  ・・・ え ポテト・グランタン? わ〜〜〜〜 美味しそう〜〜 

「 手 洗ってきて。 ウガイも よ 」

「 はあい。   あれ ジェットは? 」

「 < 鉄砲玉 > だそうだ 」

「 あは? ・・・ あ〜〜〜 出て行ったきり、かぁ  らしいよね〜 

クスクス笑いつつ 彼は手を洗いに出ていった。

「 ふ〜ん さすが地元民だな。 すぐにわかるんだ? 」

「 そうね。 でも ぴったりな言い回しじゃない? 」

「 ああ。   戻ったら早速窓掃除だ!  」

「 お願いね〜〜 」

「 ウチはやたら窓、多いからさ、しばらくかかり切りになるんじゃないかな 」

「 おう 願ったりさ。 ウロウロされると邪魔クサイからな 」

「 そこまで言う? ・・・ まあ 真実だけどさ 」

「 真実なら言ってもよかろう。 アイツは窓掃除担当だ。 」

  ふふふ ・・・ ははは ・・・ 笑い声が盛り上がる。

年の瀬を前に 穏やかな空気でリビングはますますほんわかいい雰囲気になった。

 

話題の主は 午後も遅くに戻ってきた。

 

「 うぉ〜〜〜〜〜 帰ったぞ〜〜〜〜 開けてくれぇ〜〜〜 」

玄関の外で がなり声が聞こえる。

「 ?  ・・・ ジェット? も〜〜〜 なんなのよ〜 」

「 ああ 僕がゆくよ。 やっこさん、なにかとてつもないモノを

 買ってきたんじゃないかなあ  

ピュンマが気軽に腰をあげた。

「 え ・・・ ガラクタはゴメンよ? もう粗大ゴミの収集、お終いなのですもの 」

「 見る前に ゴミ扱いはちょっとヒドイけど 

「 だあ〜〜って。 今までどれだけの 」

「 わかったよ、 ちゃんと僕が吟味する 

「 あ〜〜 ぼくも行く! 」

食器洗いを終えたジョーが キッチンから飛び出してきた。

「 ジョー ・・・ ジェットがなに買いにいったか知ってるの? 」

「 ううん。 でもさ 大型モール、行ったからさ 大安売り に 乗せられて 

「 だ ね。 」

 

  お〜〜い 開けろぉ〜〜〜  ドンドンドン ・・・

 

「 あ 早く開けないと ドア、蹴破るかも 

「 あは それはいくらジェットでも無理さ。 ここのドアは 重機でも

 破れないからね 

「 そうだったね じゃあ 激突したらジェットの方が 」

「 ふふふ ・・・ バード・ストライク さ 」

「 ひどい 」

二人は笑いつつ玄関に駆けていった  が。

 

  うわあ〜〜〜〜 なに 買ってきたんだよぉ〜〜〜

 

  わわ わ ・・・ 落ちる落ちるぅ〜〜〜  なんだよこれ

 

玄関からはすぐに < 悲鳴 > が聞こえてきた。

 

「 ちょ ちょっと?? どうしたのよお〜〜 」

フランソワーズが とんでいってみると。

「 なにを ・・・  わ あ 〜〜〜 なに これ 」

玄関のタタキは 個別包装の煎餅 やら チョコ やら ガム やら

キャンデイ やら ― そう 所謂 駄菓子 の海になっていた。

「 どうした・・・って 買ってきたんだよぉ 

 なにせさ〜〜〜 大安売りでさあ〜〜 シャベルですくえるだけもってけ〜って

 セールでよ♪  正月の分、買ってきた♪ 

「 これ ・・・ 買いに行ったわけ? 」

「 あ? あ〜〜 ホントはさ〜 バイクの付属品、欲しかったんだけどぉ〜

 これ 買っちまったら手、いっぱいで よ 」

「 だろうね ・・・ 」

  ふう ・・・ ジョーとピュンマはため息つきつき 散らばったお菓子を集め

始めた。

「 あ これいいわ! ねえ 餅つきの日に子供達やご近所の方々に

 配らない? 」

「 うん?  あ〜〜 いいねえ〜  豆まきの時とかお菓子を撒いたりするし  

「 ね? こういうお菓子なら 皆 気にしないでしょうし 

「 うんうん 懐かしい〜〜〜とか言ってもらってくれるよ 」

「  ― オレ 喰いたいな〜〜って 思って  

「 そうそう コドモ向きですもんね。 

「 だ ね。 ジェット サンキュ〜〜 」

「 ・・・ オレの ・・・ 好きなモン ばっかで ・・・ 」 

「 うん 皆 喜ぶよ〜〜 これだけあれば たくさん撒けるし 」

「 そうね♪ どうぞいらしてください、お土産ありますって

 町内会の方たちにもお知らせするわ 」

「 おお それはいいのう〜 ワシも煙草屋のご隠居サンに声をかけておくよ 」

「 お願いします〜  あ ジョー、このお菓子、袋にいれて納戸にしまって

 おいてね? 」

「 オッケ〜〜  きっちり結んでおくね。 」

「 お願いね〜〜 

「 ふん お前もたま〜〜には役に立つモノを買ってくるんだな 」

「 ・・・ あ  オレ ・・・ 」

「 ほら 手を洗ってきて?  遅くなったけどランチ、残っているわよ〜 」

皆 わいわいそれぞれの < 仕事 > に取り掛かった。

「 ・・・ オレ ・・・ 食べたかったんだァ ・・・ 」

玄関に取り残されたのっぽの赤毛の呟きは だ〜れにも聞こえなかった・・・らしい。

 

 

ギルモア邸では 着々と新年を迎える準備が進んでゆく。

掃除もイベントの準備も 皆 楽しんでいる。

 

 ― そんなある日 ・・・

フランソワーズは 小走りに買い物から帰ってきた。

「 ジョー。 時間 ある? 」

「 お帰り〜 え? あるけど ・・・ 餅つきの準備はなんとか終わったし 」

「 そう よかった! あのね ボランティア おねがいしたいの  

「 ボランティア?  」

「 そうなの。  今日 商店街の魚屋さんで聞いたんだけど ・・・

 猫さんやわんちゃんのシェルター のお手伝い 」

「 しぇるたー ?  ・・・ 避難場所?? 」

 

 

Last updated : 12,19,2017.                back      /     index    /    next

 

 

************  途中ですが

なんか ハナシがだんだん広がってきた・・・かも。

彼らが餅つきしたら 臼は地面にめり込むかも ・・・